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プルショッタマ

ヨーガ教師。ヴェーダ占星術師。2000年頃からヴェーダ占星学・秘教占星学への関心を持ち独自に研究を続ける。2014年にヨーガ・霊性の師となるシュリー・ガナパティ・サッチダーナンダ・スワミジと出会い、2016年にダッタ・クリヤ・ヨーガ教師、2018年にウパディヤーヤ(上級教師)の資格を取得。2022年からはShree Vidyaにてインド神官二ティシュ・バット氏に師事しヴェーダ占星術を修める。

翻訳
『神の化身たち-シュリー・ガナパティ・サッチダーナンダ・スワミジの人生』
『ダッタ・クリヤ・ヨーガ』

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惑星が象る運命について

木星・空と師

「空」には、特別なものがあります。あらゆるものから自由で何にも囚われることのない存在。かつ全てを包含し無限であるもの。日々、何かを追い求め、身体的生活という制限の中で暮らす私たちとは対極のような存在です。

ヴェーダ占星術においては、五大元素の「空」を支配するのは「木星」です。そして「木星」はサンスクリット語で「霊性の師」を意味します。

真の意味での「霊性の師」は、この「空」の持つ「無限」を、「有限」である「人間」の内に完全に実現している存在を指します。

はかりしれない幸運によって、私はこのような「霊性の師」と実際に出会うことができました。「霊性の師」であるスワミジとの出会いは、インドやヨーロッパなど世界中を飛行機に乗って旅してまわる私の新しい人生の始まりでもありました。

スイスのアルプス地方で行われたスワミジの「沈黙の研修会」に参加した後、アルプス山脈へ向かい、ユングフラウ山の氷河を見ました。標高3,620mまで来たことによって、一つの願いが叶いました。愛読書『アグニ・ヨガ』には「3,400mの高地では、アストラル体は特殊な性質を帯びる」「山は人間を地上の低級の状態から解放する」と書かれていました。その気層を実際に体験することを強く願っていて、その願いが成就したのでした。

日本に帰ると、まもなく一つの夢を見ました。透明の飛行機に乗り「空」を駆けめぐっていました。これまでに感じたことがないほどの突き抜けるような解放感のある体験でした。霊性の巨匠たちの中でも最高峰に位置するスワミジを師とすることができ、スワミジという飛行機に乗り、人生の旅を高速で飛べるようになった私はすべての面で順風満帆でした。「霊性の師」は「あらゆる願いを叶え解放をもたらす存在」だとされ、まさにその通りでした。

土星・失墜

何の望みも持たずにただ今この瞬間を生き続けることができる人以外は、運命の波による影響を受けます。ヴェーダ占星術は、誕生時に月があった位置の近くを土星が通過する時、大なり小なりの困難や試練をもたらすとしています。ですが、かなりの自信家であった私はそれほど気に留めていませんでした。「惑星の影響は真の自分自身を知る人には及ばない」という原理を知っていたからでした。

数年が経ったある時期、ほんの2カ月ほどの間に、私はさまざまなものを喪失し、完全に自信を失っていました。恐れが全身を覆い、行動ができなくなっていました。最高の師を得ていながら、そのような落胆に支配されている自分を許せませんでした。またヨーガの上級教師として他の人を教えていた私はヨーガによる心の統御を教えていました。そのような立場にありながら心のバランスを失っていることも重圧になっていました。自責の念がさらに心のバランスを失わせ、それがますます自分を追い込むという悪循環にはまり抜け出せなくなっていました。

月・心

ヴェーダ占星術への関心を復活させたのはこの時期でした。ヴェーダ占星術によって自分の問題を解決しようとしたわけではありません。ただ単に人の役に立つ有益なスキルを身に着けようとしただけでした。師であるスワミジが、ヴェーダ占星術のスキルを評価する話をしたことがあり、それが動機となっていました。しかし、後になってそれは深いレベルでの師による導きだったことがわかりました。

ヴェーダ占星術を学び直しながら改めて星の配置を読み解くと、自分自身が人生の主要な局面を迎えつつあることが見えてきました。「アートマ・カーラカ(自己の表示体)」がどの惑星であるかを見る技法があります。この「アートマ・カーラカ」を「自分自身の魂の性質を表す惑星」と見る解釈がありますが、それは誤りです。「アートマ・カーラカ」は「今回の人生においてもっとも主要な影響力を振るう要素(惑星)」を示します。私の場合「アートマ・カーラカ」は「月」でした。そしてヴェーダ占星術において「月」は「心」を表します。私の人生にとって「心の統御」が主要なテーマだったのです。

120年周期の中で「月」が支配する10年間に来ていました。私の「月」は8番目の部屋に在住し、火星と土星の視線を受けています。専門的に分析すると、これはその時期が来ると精神を病んだり自殺者を生んだりする配置です。さらに輪をかけるように土星が誕生時の月の位置を通過する過程に入っていました。あらゆる角度から見て、この時期は極度の心の苦しみを通過しなければならない時期でした。突然にさまざまなものを喪失し、完全に自信を失ってしまった時期と正確に符合していました。

ある日、学びを進める中で「私が人生における主要な試練の時期に入っていることを自覚させるために師であるスワミジがヴェーダ占星術に導いた」のだと気づきました。

逆境・祝福

「もしあなたが壁に押し付けられ、息もできない状態だとしたらどうなるか。あなたはただ空気だけを求め、それだけが頭の中を占める」。これはスワミジの教えです。そして苦難の時にどのようなことが起こるかを表しています。余裕がある時は、私たちはさまざなな事に関心を持ちます。しかし極度の苦しみにある時はそうはいきません。その苦しみから逃れるために必要なものだけを求め、意識はその一点に集中します。

私自身をもっとも苦しめていたのは、自分自身の「心」でした。水に溺れる者が空気を求めるように私に必要なのは心の統御でした。心を統御するためには「心を超えたもの」が必要とされます。私はそれを求めて集中せざるを得ませんでした。ヴェーダ占星術における16分割図のD20と呼ばれる分割図は「ウパーサナ(礼拝・奉仕・瞑想)」を表すとされ、霊性を示す図です。私は自分自身のD20に「この逆境によってより認識を深めることができる」という徴を見つけました。苦難や葛藤は、それを経験する人がその苦しみを超える力にアクセスする機会を生みます。「逆境」とは実は姿を変えた「祝福」だったのです。

当初は他の人のためになるのではないかと思って学びを再開させたヴェーダ占星術ですが、私自身がそこから深い気づきと勇気を得る結果となりました。ヴェーダ占星術によって、秘められた人生のテーマや課題、自分自身でも知らない「強さ」などを読み取り、知ることができます。逆境や困難の中で越え難い壁にぶつかっているように感じていらっしゃる方もいるのではないかと思います。ですが、すべての逆境は祝福です。ヴェーダ占星術によって星々の慈悲深い力をお伝えし、皆さんの力になることができれば幸いです。